汚物レビゥ


the charlatans / up to our hips


Up to Our Hips


マンチェスターな音がどうとか、この人等はどーいった経緯でシーンに
食い込んでいたのかなどは一切知らずにこのCDを手にしていた94年の
僕は、それまでほぼイギリスの音楽とは無縁でして、カート・コバーン
に一本釣りされたようなグランジっ子だったのです。今から10年前の94年というと
カート・コバーンが亡くなって、ベックが君臨して、オアシスがデビューし、
The Stone Rosesは「Second Coming」をしていた、そんな年。
そんな時期に、バンドとしての立ち位置は宙ぶらりで勢いがあるようには到底
思えない3枚目のこのアルバムをしら〜っとリリースしていたThe Charlatans
この「up to our hips」の次にリリースしたアルバムで息を吹き返す
ことになるんだけど、僕はこのアルバムから入ったせいか、どうもこの
アルバムの呪縛から逃れ切ることが出来ずにひたすら足踏みって感じでした。
なんつーか。全体的に地味でパッとしない曲ばかりなんですねこれ。
大した派手さがあるわけでもなく、マンチェの残り香もそんなにで、がつんと
ロックで捻じ伏せる素振りもみられない。渋くてアーシーな曲群が並んでて、
地味なクセにそれでいてそれなりに聴かせてくれちゃってる。
そんな、ニクイあんちくしょうな1枚。当時、このジンワリとした感じに
随分とやられちゃってねー。こればっかり聞いてたんですよ。
これがオアシスより衝撃的だったのかー?ベックより良かったのか!と
いわれると全然そんなことはないんだけれども、このアルバムを伝って過去の
マンチェスターのシーンとかを知って、イギリスの音楽のことを知っていった
という、個人的な伏目の1枚のような気がしているので鑑賞深い作品なのです。
なんだかんだで、その後97年の「Tellin Stories」までのシャーラタンズ
の動向はかろうじて押さえてたりしてたんですけど、いまやもうぜんぜん聞か
なくなちゃって。それでも、1枚目の「SOME FRIENDLY」と、この
「up to our hips」だけはたまーに聞く。「SOME FRIENDLY」の方が断然よい
なーとつくづく思うんすけど、なんか知らんが「up to our hips」に手が伸びる。
なんていったらいいですかね。このね、バランスっていうか。悪くいって
しまうと「冴えない」とも言えなくもないんすけど、押し付けがましくない
感じがよいですよこれは。